戦国の姫城主 井伊直虎
2016-12-02


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戦国時代。井伊直虎と男を名乗り、城主となった「まどか」。
来年の大河ドラマの主人公を、時代小説の名手、越水利江子先生がお書きになりました。
井伊家の一人娘、「まどか」のまわりには、裏切りや陰謀が渦巻き、次々とむごい事件が起こります。
その激流の中を、まどかは必死で生き抜いていきます。
父も祖父も、頼りになる人もすべて失ったまどかは、女城主として、かつての許婚の亀の丞の遺児を守り育てていきます。
その子孫はやがて、大坂の陣で大活躍し、徳川の世で盤石の地位を得ることになります。
現在放映中の「真田丸」の中で、幸村が徳川軍にひときわ目を引く赤備えの隊を見て、「あの者たちがここに至るまでの物語が知りたいものだ」と言って話題になりましたが、本書はまさに「その者たちの物語」です。
戦場のシーンなど、まるで自分の脇腹に槍が刺さったような感じになってしまうほどの、越水先生の筆の迫力に圧倒されます。
終盤、「女は、おのれより強く、大きく、たくましい男を、もっと深く大きな魂で護っているのだ!」というまどかの心の叫びに、心が揺さぶられました。
越水先生は、あとがきで、どのような姿勢で時代小説を生み出しているのかをお書きになられていて、それはもう、正座で読ませていただきました!
読めば歴史がもっと楽しくなります。
児童向け歴史コーナーは漫画が主流ですが、読み物で味う楽しみもぜひ!

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